第38期竜王戦の祝賀会を振り返って②

2025.12.22

前回につづき、2025年12月9日の第38期竜王戦 祝賀会の様子をお伝えしてまいります。
チェックインを済ませた藤井竜王が「薩摩伝承館」をご見学されました。当館で対局が行われた場合はここで開会式と大盤解説会が予定されていました。

薩摩伝承館は当館の敷地内にある美術館です。当館社長の下竹原利彦が展示をご案内いたしました。

薩摩伝承館の維新の間に入るエントランスに展示されているのが薩摩金襴手(さつまきんらんで)です。薩摩藩主の御庭焼き(邸内に窯を築いて、藩主の趣向に合わせて陶工に焼かせた陶磁器)として約400年前に生み出され、徳川将軍などへの献上品として使われていました。1867年のパリ万博では薩摩藩が薩摩パビリオンとして公式参加し、その際に薩摩焼(特に金襴手)が出品され、「極東の宝石」と絶賛されたことが、日本陶磁器輸出の大きな契機となりました。その豪華絢爛な細密画と金彩(金襴手)の技術が欧米で「ゴールド・クレイズ(金への熱狂)」を引き起こし、明治期における輸出陶磁器(京薩摩など)の発展を促し、世界中で「SATSUMA」ブランドが浸透するきっかけを作ったと云われています。

薩摩伝承館の2階「薩摩の間」は、鹿児島がかつて薩摩といわれた時代の様々な歴史を、美術品や偉人ゆかりの品々を通して今に伝えています。

薩摩伝承館ご見学のあとは敷地内を移動しながら記念撮影に応じてくださいました。

指宿白水館の玄関付近にある将棋対局を記念して建てられている砂像前では各メディアによる取材も行われました。

藤井聡太 永世竜王誕生を祝う会

夕方になり、薩摩伝承館で祝賀会が始まりました。

第38期竜王戦の始まりと共に、この日をずっと楽しみにされていたファンの方々が続々とご入場されます。

続いて、藤井聡太竜王のご入場とアナウンスがかかると、会場から大きな拍手がわき起こりました!

読売新聞西部本社 増田雅己 社長

日本将棋連盟 瀬川昌司 常務理事

竜王戦主催者である読売新聞西部本社の増田社長様、日本将棋連盟常務理事の瀬川常務理事様からご挨拶のあと、指宿市の打越明司 市長より歓迎のご挨拶がありました。

当館のスタッフからも藤井竜王へ歓迎の花束贈呈が行われます。

今期予定されていた対局の際に午前・午後の「勝負おやつ・ドリンク」をご提供くださることになっていた鹿児島県内の4市より指宿市長様・南九州市長様・南さつま市長様・日置市観光協会様はじめ、鹿児島県観光連盟様、九州旅客鉄道(株)様が祝賀会にもご参加くださり、記念品贈呈が行われました。

指宿市の打越市長より
特産品詰め合わせ

南九州市の塗木市長より
知覧茶セットと特産品詰め合わせ

南さつま市の本坊市長より
お米と加世田のカボチャ

加世田のブランドカボチャ「かぼどん」に会場から歓声が起こりました( *´艸`)県内各地の特産品と同様に、このカボチャも時間をかけて大切に育てられて来たことが伺えます。

県観光連盟の橘木専務理事より
沈壽官窯カップとソーサ―

日置市観光協会の窪田会長より
焼酎と器のセット

JR九州の海老原支店長より
通票のレプリカ

九州旅客鉄道株式会社(JR九州)様からの記念品として贈られた「通票(つうひょう/タブレット)」は、いわゆる鉄道の通行手形の役割をするものです。九州で最後までタブレット閉塞方式が残っていた指宿枕崎線の山川駅~西頴娃駅の区間で使用されていました。タブレットは金属製の円盤型をしています。

タブレット閉塞方式というのは、鉄道における衝突を防ぐための一連の手順のことをいいます。
使い方は駅員がタブレット閉塞機を操作してタブレットを取り出し、専用のタブレットキャリア(通票受授具)に入れて運転士に渡し、到着駅でキャリアごと回収して閉塞機に戻す、という流れで、入念な電話連絡と連動しながら、単線区間で、1つの閉塞区間に1台の列車しか入れないようにして、衝突を防ぐ安全管理システムとして機能していました。

こちらの記念品はその通票(タブレット)のレプリカで、九州で最後まで使われた「西頴娃駅・第2種通票」です。

最後に当館の若女将から記念品として、焼酎 森伊蔵酒造株式会社様より、焼酎「楽酔喜酒」が贈られました。

藤井竜王からご挨拶をいただきました。
「今日はこの様な会を設けていただきありがとうございます。
 今回は指宿のたまて箱号にも乗車し、列車に揺られながら新たな旅の楽しみを感じることができました。
 後で砂むし温泉で砂の重みもじっくりと感じることができたらと思っています」

…と話されて会場から大きな拍手が起こり、場を盛り上げられました。

祝賀会が中盤に差し掛かると、藤井竜王による自戦解説が行われて、瀬川常務理事の聞き手役で進められました。

南さつま市の本坊輝雄市長が中締めをされました。

締めの掛け声は、「王手!」

砂むし温泉へ

少し後、藤井竜王と関係者の皆様(瀬川常務理事、読売新聞の吉田記者)と当館社長の下竹原が砂むし温泉に入浴されました。

まず藤井竜王と瀬川常務理事が砂に埋もれます。

和やかな雰囲気の中で温かい砂に埋もれていき、藤井竜王もリラックスされているご様子でした。
当館の砂むしは屋内型で、砂の下に約80℃程の源泉が流れています。温泉熱が砂の隙間を通して上がっていき、底の砂の温度は50度近くありますが、空気に触れて身体に掛ける砂の温度はそこまで高くはなく、通常の入浴で火傷を負う事はありません。この砂の重みと温泉熱による遠赤外線効果で、血行を促進させて深部体温が上昇し、痛みを緩和し自律神経が整えられます。

当館の砂むし温泉では砂むし専用の浴衣を着用し、砂掛師がレーキを使って身体の上に砂を掛けていきます。

当館の砂むし温泉ご入浴では、大体皆様10分から15分を目安に砂に埋もれます。時間制限は設けてございませんので、それぞれのご体調に合わせてご入浴をお楽しみください。

翌日は南薩観光へ

当館の従業員はもちろん、ご宿泊のお客様も藤井竜王のお見送りに加わり賑やかな朝の風景です。

藤井竜王が山川小学校へ

12月10日、藤井竜王と関係者の皆様は指宿市立山川小学校を訪問されました。この小学校では全校生徒の約半数が将棋の対局経験を持つほど、沢山の児童が将棋に触れて過ごしています。今年6月末には、日本将棋連盟さつま支部が主催する「小・中学校将棋団体戦」の県予選に3チームが出場、そのうち1チームが初優勝して西日本大会出場を決めています。

体育館に全校生徒が集まって歓迎の準備をしていました。

藤井竜王が会場に現れると、割れんばかりの歓声と拍手が響き渡りました(*’▽’)

藤井竜王は児童から花束やお手製リーフレットを贈呈されました。生徒達から「1日、何時間将棋の練習していますか」「これまでに何回、勝ちましたか」など質問も受けられて丁寧に応えていらっしゃいました。

県予選で初優勝して西日本大会へ出場を果たした生徒達に「仲間達と良いライバルとして競い合いながら上達していって頂けたらと思います」とエールをかけていらっしゃいました( *´艸`)

最後に代表の生徒からお礼の言葉を受けて、全員で記念撮影をおこないました。退場の際も生徒手作りのアーチをくぐって、子供たちが差し出す手にそっと触れながらにこやかに会場を後にしました。

南薩観光へ

山川小学校を後にした藤井竜王と関係者の皆様は南九州市を観光されました。

朝から天気にも恵まれて、絶好の観光日和です。

南九州市茶業課の方が開聞岳について
説明してくださいました。

最初に訪れたのが日本でここだけのタツノオトシゴ観光養殖場「タツノオトシゴハウス」です。タツノオトシゴは謎めいた生き物で、オスが出産・育児をします。オーナーの加藤さんが着ぐるみ姿でお出迎えされて、ユーモアも交えながらタツノオトシゴの魅力をたっぷりご紹介くださいました。

竜王5連覇を果たした「永世竜王」としてもご縁を感じる場所です。タツノオトシゴは英語でシー(海)ホース(馬)といいます。来年の干支午年を前に、感慨深いものもありました。

次に向かったのは、通称:釜蓋神社(射楯兵主神社)です。釜の蓋を頭に乗せて祈願するユニークな参拝方法である「釜蓋願掛け」で賑わう、人気のパワースポットです。勝負事や開運・開拓・厄除け・武運長久にご利益があると云われる神社で、多くのアスリートも参拝してその後活躍したことから更に有名になった場所です。

ご祈願方法について案内を受けます。

大小様々な釜蓋があり、
祈願する目的に合わせて選ぶことが出来ます。

いよいよ釜蓋参拝です!

見事なバランス感覚で難所である階段さえも難なくクリアしていらっしゃいました。普通は歩くたびに頭上の釜蓋がグラグラと揺れるはずなのですが、藤井竜王は見事な体幹で殆ど揺らしていない様に見えました( *´艸`)

間もなくお昼の時間になり「旬蒸terrace」へと向かいました。2024年2月にオープンした蒸し料理屋さんで、ランチタイムでは地元の旬野菜やお豆腐、鹿児島県産の黒豚・黒毛和牛・若鶏をセイロ蒸しで頂くことができます。

▶旬蒸terraceホームページ
https://shunshunterrace.com/

新鮮なお肉とお野菜、茶わん蒸しもあります( *´艸`)

着座してから蒸しはじめます。

蒸し上がりました!

お塩やタレなど3種類の味で楽しむことができます。食後には幻の勝負おやつとなった「とろける知覧茶の和てぃらみす」も食されました。

この後は鹿児島空港へ向かい、鹿児島を後にされました。

長くなりましたが、第38期竜王戦 指宿白水館「祝賀会」の振り返りブログはここまでとなります。
藤井竜王と関係者の皆様の益々の発展をお祈りいたします!